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発達障害への看護アプローチ

発達障害への看護アプローチ

責任編集
杉山登志郎(浜松医科大学 児童青年期精神医学講座特任教授)
B5判 212頁 2色刷
定価(本体価格2,400円+税)
ISBN978-4-86294-039-1
2011年2月刊行

※著者の所属、肩書きは刊行時のものです。

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◆解説

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害),注意欠陥多動性障害(ADHD),また,被虐待や解離性障害,摂食障害,場面緘黙など発達障害を基盤にもった事例とともに,具体的な看護の実際を紹介。
精神科では統合失調症だと誤診されている場合が多い発達障害。障害,二次障害,その人の生きづらさを理解,適切なケアを提供することで改善につながります!

◆主な目次

◆第1章 発達障害とは何か 
知っておかなければならない基礎知識

杉山登志郎(浜松医科大学児童青年期精神医学講座特任教授)

 

◆第2章 発達障害をもつ人の世界を知る
Ⅰ.幼児期
言葉の遅れ  言葉の発達が遅い男の子の事例から

松平登志子(あいち小児保健医療総合センター心療科医師)

Ⅱ.小児期
不登校,集団不適応  授業中,パニックになって逃げ出し,不登校になった女の子の事例から

山村淳一(あいち小児保健医療総合センター心療科医師)

行為障害,愛着障害  ささいなことでけんかし,自宅でも大暴れする男の子の事例から

鈴木善統(あいち小児保健医療総合センター心療科医師)

摂食障害,身体症状化  心理的負荷やこだわりによって生じた事例から

川村昌代(あいち小児保健医療総合センター心療科医長)

Ⅲ.思春期
不潔恐怖,強迫,巻き込み行為  清潔不潔に関するこだわりに母親を巻き込んだ女の子の事例から

杉本篤言(あいち小児保健医療総合センター心療科医師)

ひきこもり,二次的抑うつ  毎朝の頭痛・腹痛と学校での疎外感を訴え,不登校が続いた女の子の事例から

松本慶太(あいち小児保健医療総合センター心療科医師)

Ⅳ.青年期
職場での不適応  仕事が合わず,うつ状態からひきこもりになった青年の事例から

東 誠(あいち小児保健医療総合センター心療科医長)

夫婦,子育ての問題  広汎性発達障害の親の事例から

新井康祥(あいち小児保健医療総合センター心療科医長)

 

◆第3章 発達障害への看護アプローチの原則と実際
広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)の看護  アスペルガー障害の事例から

小山内 文(前あいち小児保健医療総合センター32病棟主任看護師)

注意欠陥多動性障害(ADHD),行為障害の看護  周囲とのトラブル,離席,暴力などを改善した事例から

垣内真次(あいち小児保健医療総合センター32病棟看護主任)

被虐待と解離性障害の看護  広汎性発達障害が基盤にある事例から

大森左由利(あいち小児保健医療総合センター32病棟看護副師長)

二次障害としての摂食障害の看護  広汎性発達障害が基盤にある事例から

中嶋真由美(あいち小児保健医療総合センター32病棟看護副師長)

場面緘黙の看護  広汎性発達障害が基盤にある事例から

林 義晃(あいち小児保健医療総合センター32病棟看護師長)

コラム
司法面接技法

伊藤 環(あいち小児保健医療総合センター32病棟看護師)

 

◆第4章 成人の発達障害へのアプローチ

鵜飼秀明(愛知県立城山病院看護副師長・精神科認定看護師〈児童・思春期精神看護領域〉)

 

◆第5章 家族への支援

加藤明美(あいち小児保健医療総合センター家族支援専門看護師)

 

◆第6章 発達障害と薬物療法

加藤志保(あいち小児保健医療総合センター心療科医長)

 

◆第7章 当事者・家族の立場から
発達障害者,そして発達障害者の親として

水野実千代(当事者)

人間関係に悩まされつづけて

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

発達障害の看護をもっと学びたい
筆者が発達障害の看護にかかわったのは5年前からである。それまで成人を主とする精神科での10年間の経験があったが,児童精神科の理解はまったく不十分であった。入職した当時,一見楽しそうな子どもたちが,各々が一方的に話しているだけで,相手の話はまったく聞いておらずコミュニケーションが成り立っていない光景が不思議であった。時間割が変更になっただけでパニックになり,自傷する子どもの気持ちが理解できなかった。その後,発達障害について学ぶことで,不思議だったことがしっくりいくようになった。患者を正確に理解できれば,個別のプランを立案できる。見通しをつけるかかわりや視覚的な支援,曖昧な表現を避けることなど,患者の立場になって工夫できることは多い。
精神科医療において発達障害の看護援助が増える昨今,看護師向けのテキストはほとんどなかった。まえがきに「わが国で初めての,発達障害臨床の看護に焦点を当てた本格的なテキスト」とあるように,本書は看護職に向けたわかりやすい画期的な書籍である。本書は7章からなり,発達障害とは何か,発達障害をもつ人の世界はどのようなものか,看護アプローチの原則や薬物療法など対応の実際と,当事者・家族の声から,どのような支援が求められているのかを学ぶことができる。
第1章「発達障害とは何か―看護における基本的な接し方」の「発達障害の看護において力動的な解釈はことごとく外れます。もっと単純で,直接的で,その単純すぎることによってこちらが戸惑うのです」という記述は興味深い。以前,脈をとると「暴力を振るわれた」と騒ぐ子どもがいた。筆者に何か特別な陰性感情を抱えているのかと危惧したが,実際は感覚過敏があり腕を触られただけで本当に痛かったことがわかった。発達障害をもつ人の世界は通常の枠組みでは理解が難しい。ゆえに専門職である看護師が学び,各々に看護の視点をもつ必要がある。
第2章「発達障害をもつ人の世界を知る」では,幼児期から成人期までの発達段階にそった障害の特性や生きづらさ,特徴に合わせた対応方法が事例を通して説明されている。また第3章「発達障害への看護アプローチの原則と実際」では視覚支援の具体的な方法をイラストから学べて,プラン作成の参考にもできる。新人看護師にもわかりやすいし,発達障害の看護を実践している看護師にも日々の援助を振り返る機会となるだろう。

発達障害をベースとする二次障害の理解
発達障害のアセスメントを困難にする要因は,入院となる事例の多くが二次障害を抱えている点である。たとえば発達障害に加えて摂食障害やうつ状態,虐待などの診断のある患者の場合は「ベースに発達障害のある二次障害」としてのアセスメントが必要となるため,全体像がとらえにくい。
第3章「二次障害としての摂食障害の看護」の項には,発達障害のあるケースは一般的な摂食障害と異なり,発症に心理的要因が少なく,こだわり行動の1つとしての要因が大きい,といった特徴が記されている。栄養状態の改善など共通した治療に加えて,発達障害に着目したケア,たとえばゆがんだ認知の修正や,現実的な対処方法,対人関係スキルの獲得など,視覚化した行動療法の個別プランが必要であることなどが学べる。
思春期は発達障害のある・なしにかかわらず,不安定になりやすい。発達障害をもつ人は小児期までに失敗体験を多く重ね,自己肯定感が低い中で思春期を迎える場合が多い。そのため,二次障害への「配慮」と「対応」といった,認識面と情緒面の双方を考慮した,よりていねいなかかわりが求められるのである。
看護師は発達障害をもつ人を含む,援助を必要とするすべての人の理解者でありたい。精神科看護の中でも成人と児童では違いがあり,そして児童精神科の中でも発達障害の看護は特別な配慮が必要である。そのため,新人看護師だけでなく,精神科を経験してきた看護師でも発達障害の看護は理解できていない状況がある。速やかな援助につなげるためにも,就業の早い段階で教育が必要である。

発達障害の看護の魅力
筆者は当事者にかかわりながら経験として学び,同僚や他職種からも学んできた。二次障害で不登校となり布団からまったく出られない発達障害の中学生を受け持ち,入院生活の中で対人関係や生活スキルの援助を行ったことがある。退院後,彼が病棟に顔を出してくれて「高校行ってるよ,友だちもできた」と報告してくれた。うれしかった。成長期の患者の変化には日々,驚かされる。入院生活が実際に「育つ」場となる支援,患者の将来にかかわる実践的な看護が提供できることは魅力的である。発達障害をもつ人には,ライフステージに応じた途切れない支援が大切であることもおさえておきたい。
本書に「看護師に大切なことは,まず目の前の人をありのまま理解しようと努めることであり,そこは対象によって変わりません。そこに,発達障害という視点が加わることで,よりその人が抱えている困難さを知り,つまずきに気づき,その人が本当に必要としている支援に近づくことができるでしょう」とあった。障害の特殊性や特徴だけに目を奪われるのではなく,その人自身をみる姿勢がもっとも重要であり,それはほかの障害をもつ人の看護と同じであろう。精神科における発達障害の看護援助の確立が,アセスメント能力の向上,看護の質やチーム連携の向上につながっていくことを確信している。

三重県立小児心療センターあすなろ学園
村上亜由実

※『精神科看護』2011年8月号より転載

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     
 
 
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