編集こぼれ話

 精神科医療全体が急性期化を志向する中で,一方では短期間での再入院をくり返すケースが多数存在するというお話をよく耳にします。短期間で再入院となった患者さんに対しては,どのようなケアが行われているのだろうか,「再入院」ということを意識しての何か特別なケアがあるのだろうか,といった素朴な疑問が本特集を企画するきっかけでした。
  実際にお話しをお聞きする中で,再入院時に必要となるケア,あるいは患者さんとのかかわりにおいて重要なことは決して特別なことではなく,これまでのケアが患者さんにとって最善のものであったのか再考すること,患者さん自身の経験をどのように活かすのか検討することであることを知りました。「再入院」を「チャンス」に変えるためには,患者さんに対して「自明」と思い込んでいる事柄をじっくり見つめ直すことが何よりも重要なのではないでしょうか。「再入院」自体が,急性期化する精神科医療においては織り込み済みの事柄として考えられている(考えざるを得ない)とお聞きしますが,本特集がいま一度「再入院」を再考するための一助となりましたら幸甚です。