編集こぼれ話

 ストレスのかかることが多い現代社会において,何かにすがりついてよりどころを求める人は多く,それらが生活を脅かすようになれば「治療の対象」つまり「アディクション」とみなされます。アディクション―○○依存という言葉は現在,「薬物」「アルコール」にとどまらず,「ギャンブル」や「インターネット」「買い物」など,その対象が多様化しています。またパーソナリティ障害の患者さんには「性」依存や「人間関係」依存の傾向もみられます。しかし,これら増加傾向にある○○依存症の患者さんに対して,苦手意識をもつ医療者が多いのも事実。回復までに時間がかかり,その間は医療者も忍耐を強いられ,かといって思うような結果がなかなか得られないアディクション看護。感情を揺さぶられ「これが,看護なのか?」と医療者が燃え尽きてしまうこともあると聞きます。今号の特集は薬物依存症・アルコール依存症の治療の現状をお伝えするとともに「医療ができること」そして「医療ができないこと」を明確にすることを意図しました。アディクション看護にアレルギーのある方も「できないことがある」と認識すれば,がんばりすぎずにすむのかもしれません。アディクション看護への苦手意識を払しょくして,まずは「できること」から始めていただくのに,今号の特集がお役にたてば幸いです。