特集にあたって

岐阜医療科学大学 野中浩幸

 2007年2月,大阪と京都に勤務する看護師と大学教員の有志で立ち上げた「精神科事例検討会」も,3年半が経過した。22回を数え,第1回は12名だったが,35名が参加した回もあり,平均20名程度の参加がある。おもに土曜日に行われ,司会者と情報提供者はそのつど決める,決まらない場合はメールで募集する方法がとられている。毎回参加する人もいれば,予定が重なりやむなく参加できない人もいるが,参加は自由である。いまでは石川・東京・岐阜・奈良・兵庫からの参加もあり,地域性や抱える問題の違いなども気軽に議論でき,問題解決へのなんらかの糸口や方向性が必ず見つかるなど,「よらば文殊の知恵」の実践ともいえる。
  今回の特集では,事例検討会の実践方法や実際の内容などが掲載されている。近年,精神科医療にもスピードが求められているが,相変わらず人員不足が続くなかで,勤務中に議論する「時間」や「場」の確保が困難になってきている。しかし,1人で考えられることには限界があり,行き詰まってしまうものである。思い悩んでいてもよい解決策は見つからない。
「いま,なにが起こっているのか」を客観的に把握するために,事例検討会で現象を吟味することをお勧めしたい。