特集にあたって

財団法人積善会曽我病院 渡辺勝次

 病院の支出は,人件費はもちろん,衛生材料費,薬剤費,給食費,それに電気代や水道代といった維持費,運営設備費などさまざまあり,膨大である。
 では,どれだけの看護師が収入源となる医療制度や診療報酬の仕組みをきちんと把握しているだろうか。看護部長が副院長を兼ねる病院もある現在は,看護師も病院経営に無関心ではいられない時代である。ケア次第では患者さん(ご家族)の負担を減らすこともできる。また,適切なケアは病院に利益をもたらす。病院経営は院長をはじめとして,全職員1人1人が参画することが望まれる。
 今回の特集では日本の医療制度や診療報酬の仕組みの解説に始まり,病院の生き残りのために組織的にコスト削減に取り組んでいる実践報告や病棟でもできる経費削減のあれこれ,さらに身体合併症を予防することによる負担削減などを述べてもらった。また看護の対価としての医療の取り組みをわかりやすくハンバーク定食にたとえるなどしている。
 省エネを意識した取り組みは,ひいては地球の温暖化防止にもつながる。看護師もコストへの意識を高めることで,ふだんのケアに違った視点からの誇りと充足感がもたらされるのではないか。