編集こぼれ話

 いま,うつ病が社会的問題として,新聞・報道番組などでさかんにとりあげられています。厚生労働省の患者調査によると,この10年ほどで「気分障害」(うつ病,躁うつ病,気分変調症など)の総患者数は2倍以上に増加しているとのこと(2008年時点で100万人)。なお,この調査結果は医療機関につながっていない人は含まれていません。子どもから高齢者まで,症状を抱えたまま,もしくは気づかないまま過ごしている人を併せれば,その数ははかりしれないものなのではないでしょうか。なぜ,こんなにもうつ病患者が増えてしまったのか? 非定型と呼ばれる,新しいタイプのうつ患者さんの特徴は? どう対応すればよいのか? など,混乱している現場の声もよく耳にします。
 今月号の特集では,うつの病態や特徴,患者増の実態などの解説に続き,看護師のみなさんに,世代ごとの患者さんのケアを振り返ってもらい,どう寄り添ってきたのか,その際のご自身のこころの揺れも語ってもらいました。支えるためには,その人(患者さん)を理解しなければならない。そのためには,患者さんにどっぷりとつかり,自分の揺れる心とも向きあわなければならない――。読者のみなさんが,治療の過程における葛藤や苦悩を共有でき,看護を振り返る機会となれば幸いです。