特集にあたって

財団法人井之頭病院 渡辺純一

 「どうアセスメントしているのか」と問われると,言葉につまる看護師も多いのではないだろうか。当院ではSOAP形式の看護記録を用いているが,「アセスメントが書けない」という悩みをよく耳にする。だが,それはけっして「アセスメントができない」ということではない。臨床では,現実に判断をくだし,ケアを提供しているのだから,そこにアセスメントは存在する。しかし,経験的に学んでいる要素が多く,意識的に言語化することが困難だということだろう。患者から得た情報を判断(アセスメント)し,必要なケアを実施し,評価する。この看護過程を多くの看護師が当然のように身につけているがゆえに,「どうアセスメントするのか」ということはあまり意識されず,先のような悩みにつながるのではないだろうか。しかし,身につけた“経験知”をそのままにしていては,個人の中に蓄積されるだけで終わってしまう。自分たちがどのようにアセスメントしているのか,どう学んできたのかを積極的に言語化し,後輩たちに伝えていく必要があるだろう。
  今回の特集では,他職種のアセスメントの視点を通して看護師の立ち位置を明らかにすること,標準看護計画作成を通して経験知を言語化すること,アセスメント能力を身につけるきっかけをつかむこと・提供すること,アセスメントの視点を定め,情報として共有することなどについて述べられている。本特集が自分自身が行っている「アセスメント」をあらためて考えるきっかけとなり,実践に反映されることを期待したい。