2011年8月号の表紙

 それぞれのオブジェや断片をそれらが位置づいていた場所や文脈から切断させ,偶然に出会せることによる異化効果。コラージュの本質はこの点にあるように思いますが,実はこの「切断」と「偶然の出会い」を身近なところにも見ることができます。たとえば,博物館やある年代以前の美術を扱う美術館,果ては動物園もまた,それぞれが位置づいていた場所から「切断」することによって成立する場所です(故に,どことなく死の匂いが立ちこめているのかもしれません)。
  この「切断」と「収集」,そして「再構成(統合)」は,どこか人間の根源的な欲望に結びついているような気がします。今月号の表紙にはどこか,そんな人間の欲深さを感じさせるところがあるように思えますが,いかがでしょうか。