編集こぼれ話

 早いもので,東日本大震災が発生してから6か月が経過しました。未だに復興に向けた明確な道筋が立った,とはいえないかと思いますが,被災地の状況は刻々と変化してきているようです。被災地である岩手県,宮城県,福島県のいずれも8,9月一杯をめどに避難所は閉鎖され,仮設住宅への移住を完了する算段になっています。また,それを機に,県外からの支援団体・チームも一時撤退する方向で進んでいます。しかし,今回の震災においては,その被害の規模から今後も何がしかの継続的支援が必要となることは言うまでもありません。そして,その支援は現地の“ニーズ”に合致していることが何よりも重要になります。弊誌では,震災から6か月が経過することを受け,現在の被災地の状況を整理するとともに,今後“現実的”に求められる支援のニーズとはなにかをあらためて考える必要性があると判断し,今号の緊急特集を企画しました。
  実際に被災した東北三県の方々のお話を聞くうちに,6か月という数字がけっして便宜的な区切りではないことを知りました。避難者が仮設住宅に移り,震災後の新たな日常を獲得しようとしているこの時期において求められるのは,その日常を支える安定した(臨時的でない)基盤を確立するための方策です。直接に被災者・被災地にかかわる支援ももちろん重要ですが,国や行政への働きかけなど,より大きな支援がそれぞれに求められているのではないでしょうか。
  風化するにはあまりに大きすぎる事態といえますが,被災地から幾分離れた私たちの「日常」のなかに被災地の現実を埋没させないよう,本特集があらためて今後の被災地支援のあり方を考えるための足がかりとなりますことを,心より願っています。