特集にあたって

医療法人社団新新会多摩あおば病院 坂田三允

 『精神保健医療福祉の改革ビジョン』が平成16年に示されて以来,ようやく在院期間の短縮や地域医療の推進が現実的な努力目標として掲げられるようになった。このような流れの中で外来は地域精神保健医療の中核を担う存在となり,外来における看護の役割はその重要度を増してきた。
 しかしながら,現段階では,精神科外来における看護の役割は必ずしも明確になっているとは言えない側面もあるように思う。これまでの入院治療中心の医療体制の中では,外来とは看護を展開するというよりは,事務的に事を進めて診療が円滑に行われるようにすることが主たる役割であり,夜勤ができない看護師がその任を担っている場所というイメージが強かったからである。
 しかし,実際のところ外来は,地域で生活している人々にとっては精神医療への入り口でもあり出口でもある。初めてでも安心して訪れることができるような場でなければならないだろうし,退院後にも長い間治療継続のために気軽に通えるところであることが必要であろう。そこで今回は,そのような場を演出し適切な看護を展開していくために,いくつかのお立場からご意見をいただいた。精神科外来において看護はどのように専門性を発揮できるのかを考える手がかりとなれば幸いである。