特集にあたって

医療法人社団翠会成増厚生病院 榊 明彦

 教育の釈義は「教え育むこと」である。看護教育も文字通りに進められればいいのだが,これがとても難しい。教えることはできても,教わる側の「専門職としての育み」を知ることは難しいのだ。とりわけ,集団を扱う研修会などの企画は難儀である。なぜ難儀か。それはたぶん,参加者の経験年数の違いや,広い意味においては人生経験の差によるニーズの違いがあるからかもしれない。またそれに加えて,看護職はそもそも2者関係での展開は長けているものの,集団の扱いには幾分まだ慣れていないのである。
  ではどうすればいいのか。参加者1人1人に時間をとり,個のニーズにそった研修会を企画するのか。いやいや多忙な業務のなか,それは現実的ではない。せいぜいできることと言えば,対象者の情報を事前にまとめて,「どの時期に」「どんな方法で」「何を伝えるのか」ということを練る,そして研修会の後には,伝えたいことは伝わったか,ということを検証する程度だろう。しかしそれもなかなか根気のいる作業である。そしてこの根気が報われればいいのだが,参加者から「期待外れだった」とか,「悩み事の解決にはならなかった」,さらに「難しい内容で理解できなかった」などの意見を聞くと,企画者の気持ちは萎えていく。「新人,現任教育,どう考えればいいのだろう」。そんな現場の声に応えたいのが今回の特集である。今後の参考になる内容であれば幸いである。