特集にあたって

編集部

 今号では,2010年1月号に引き続き「看護師のためのメンタルヘルス支援」を特集する。前回の特集では,精神科臨床で遭遇するアクシデントといったネガティヴな経験を契機に,メンタルに不調をきたしてしまったスタッフに対し,先輩,上司,管理者,そして組織として,どのようにケアにあたるのかという問題を中心に考えた。
 一方,本特集で一貫して強調されたのは,看護師がメンタルに不調をきたす原因は,それらアクシデントのように,誰の目にも明らかなものばかりではないということだった。患者さんが投げかけるさまざまな感情を受け止める「容器」となることからくる看護師特有のストレスはもちろん,職場内の人間関係や職場環境,はては個々に抱えるプライベートな悩み・課題に至る,より身近なところにこそ,不調の原因は潜在している。それゆえに,調子を崩したスタッフをサポートするために組織として体制を整えることはもちろん重要だが,日ごろから気楽に悩みを打ち明けられるスタッフ間の関係性や組織風土,何より自分自身を大切にケアする姿勢といった「予防的視点」が重要になってくる。
 加えて本特集では,メンタルの不調から休職に至ったスタッフに,個人,組織として,どのようなサポートができるのか,現場の実践と当事者の声を取り上げた。本特集が,組織の,同僚の,そして自身のメンタルヘルスをいま一度大切に考えるきっかけとなれば幸いである。