特集にあたって

編集部

 今月号の特集では,これまであまり焦点があたってこなかった「看護補助者」について取り上げた。制度・政策的に見てみると,看護補助者の活用推進は,2007(平成19)年の「厚生労働省医政局通知」や「チーム医療に関する検討会」で主要なテーマとなっていたり,あるいは日本看護協会から看護補助者の積極活用のためのテキストや事例集が出されるなど,昨今の医療界において注目度は高まっていると思われる。
 では,「看護補助者の『力』を活かす」とした際に,看護職として,あるいはチームとして必要な心構えとはどのようなものだろうか。特集のトップで登場いただいた加納氏は,看護職と看護補助者の業務について「仕分けることに価値はない」と言う。つまり,流動的な臨床の場においては,ある業務について,それがどちらかの役割であるというように杓子定規に振り分けるよりも,患者や業務全体を勘案しつつ状況に応じた合理的な判断が求められるというわけだ。こうした見方が含意するのは,看護補助者のもつ,ケアにまつわる専門性だ。その専門性を認め,患者によりよいケアを提供するためのチームの一員としてとらえること。「補助者の『力』を活かす」ための第1歩はこのようなところにあるのではないだろうか。
 本特集を通じて,普段ともに働いているときには特段気にかけることのなかった看護補助者の専門性に気づき,それを顕在化させることで,ケアの質の向上に結びつけていただければ幸いである。