特集にあたって

編集部

 今月の特集では,2014(平成26)年度診療報酬改定が,精神科臨床にどのような影響をもたらすのか検討した。今回の改定では一見して,急性期医療の重点化と新たな長期入院をつくらない仕組み,またそれに伴う地域移行の取り組みの推進が見てとれる。こうした流れは「総評」で語られているとおり「良質かつ適切な精神障害者に対する医療を提供するための指針」にそったものといえよう。こうした医療政策の大きな流れ自体は,今後も継続されるだろうことは間違いない。
 翻って,こうした方向性は現実的に臨床現場に受け止められるのだろうか。今回の改定において新設・加算・減算された項目は,当然のことながら医療の質の向上がめざされた結果である。では,今回の改定に含まれた,明らかな,あるいはひそかな「期待」に現場は十分応えられるだろうか。本特集の内容をご覧いただければわかることだが,そこにはいくばくかの,しかし,看過できない現実的課題が立ちふさがっている。ぜひみなさまにも改定がめざすものと,所属する病院の現状とを照らし合わせながら今回の改定の内容について考察いただければと思う。
 いずれにしても,診療報酬(改定)が看護師が日々の業務を行う環境それ自体の根拠であったり,提供する医療・看護の方向性をある程度規定するものである以上,病院の中の一部の職員だけがその内容を理解しておけばよいものではない。今回の診療報酬改定を期に,自身の立ち位置を振り返っていただければと思う。