特集にあたって

編集部

 近年,精神科看護師がコンダクターを務めるグループの実践は増えてきている。特に,SSTや集団認知行動療法は多くの読者にとっても馴染み深いところではないだろうか。しかし,本特集で中心的に取り上げている力動的なグループ療法をはじめ,グループの種類は実に多様である。また,本特集にご登場いただいた青戸氏が語るように「コンダクターが10人いれば,10通りのグループがあってよい」のかもしれない。さらに,ことさらに「グループ」と銘打つまでもなく,精神科看護師の実践は常に病棟や「チーム」という集団のなかにあるともいえるだろう。
 しかし従来から指摘されてきたように,グループワークに対して多くの看護師はネガティヴな感情や,実践することの困難さを感じている。後者は,グループに生じる「力」や,それによって起こる「変化」のとらえがたさと関係しているだろう。また,グループにコミットする看護師は,そのなかで自ずから自身の押し殺してきた感情に気づき,それらと対峙していかなければならない。そうした意味では,看護師のもつグループへのネガティヴな感情は,グループのもつ「力」そのものに起因しているといえるかもしれない。
 本特集では,あらためて「グループの力をとらえなおす」ことを目的に,そのための方法論,実践,そして医療者を含む当事者の生の「声」をご紹介する。本特集が,グループへの新たな関心や,集団のなかにある日々の看護実践を見直すきっかけとなれば幸いである。