特集にあたって

医療法人共生会南知多病院 木下孝一

 本誌では,2014年5月号で『診療報酬改定にあたり精神科臨床はどう変わるか』と題し,最新の診療報酬改定が臨床に与えるインパクトについて検討する特集を組んだ。読者のみなさんの働く臨床の場では,どのような変化を感じられているだろうか。最新の診療報酬改定は,4月の精神保健福祉法の改正の内容が強く反映されていたものだっただけに,これまで以上に地域移行・定着に向けて動きが加速していることと思う。
 このような動きが始まっているなかで,7月に厚生労働省の検討会で取りまとめられた「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係わる検討会」では,「精神科病院の構造改革」という今後の精神科医療の方向性が明確に示された。これまで積み残されてきた課題の克服に向けて,ようやく動き出したとの期待もあるが,一方で,精神病床の機能分化・病床削減によって看護職の働く環境が変化してくることになる。
 今回の特集では,この構造改革が看護職にどのような影響をもたらすのかについて取り上げた。「入院医療中心から地域生活中心へ」の流れのなかで,看護職にはどのような役割が求められていくのか,あらめて考えてみたい。そして,精神科医療のなかで自分はどのような看護をやっていきたいのか,看護職としてのグランドデザインを考えながら,これからのニーズに適応できる精神科看護師をめざしてみてはいかがだろうか。