特集にあたって

編集部

 今回の特集は,平成26年11月29日(土)~30日(日)に行われた,日本精神科看護協会主催「第21回日本精神科看護学術集会専門Ⅱ(北海道)」の学術講演『統合失調症と生活習慣病』の内容に加筆修正を行ったものである。本稿では,精神科医療において常に課題となる生活習慣病の解説に先立ち,まず統合失調症の主な症状―陽性症状・陰性症状・認知機能障害の整理と基本的なかかわりの方法から説明していく。いずれも基礎的な内容だが,とても具体的な記述となっており,この部分だけでも日々の看護の振り返りに十分に役立つだろう。
 厚生労働省は生活習慣病を「食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒等の生活習慣が,その発症・進行に関与する疾患群」と定義している。このうち,統合失調症患者の場合のリスク要因として,本稿では「運動」「休養」の部分での困難さと,統合失調症患者の喫煙率の高さが指摘される。また,生活習慣病の疾患群について具体的な解説や,抗精神病薬服用がもたらす生活習慣病へのリスク(副作用による食欲亢進や鎮静などのもたらすリスク)への言及もあり,統合失調症と生活習慣病の根深い関連が示されている。
 「患者さんの身体的問題へのアセスメントが苦手である」という精神科看護師は少なくないだろう。そうした方でも,本稿が示すように「精神疾患の特性から身体疾患をみてみる」という観点に立てば,身体ケアへの苦手意識は解消していくのではないだろうか。