特集にあたって

編集部

 今月の特集では,精神看護学実習における実習施設や学校の役割,そして両者の連携について検討しています。学生を受け入れることは実習指導者やスタッフにとっては普段の業務からのプラスアルファとなるため,精神的・肉体的に負担がかかります。しかし,学生が病棟にいて,新鮮な眼でスタッフの働きぶりを見ているという状況は,日々の看護を行っている環境をあらためて見直すよい機会にもなりますし,「学生を教える」ことは,自身の行う看護の基本や根拠を再確認するチャンスともなります。
 また,実習では患者さんに「受け持ち患者さん」となってもらうわけですが,学生のもつまっさらなものの見方や態度は,患者さんにとってもよい刺激となるでしょう。長期の入院のなかで退院意欲が薄れていた患者さんが,学生と接することによって刺激がもたらされ,意欲を取り戻し,結果退院につながった,というケースもしばしば聞かれます。
 特集後半では精神看護学実習を終えたばかりの学生4名の体験談(「実習を終えたいま,精神看護学実習で学んだことは」「指導者の言動で助けられたこと」など)を紹介しています。精神科への期待や不安を綴った本稿を読むだけでも,「自分が精神科看護を志したころの思い」が蘇ってくるのではないでしょうか。彼ら・彼女らは,将来,精神科看護の世界に飛び込んでくる後輩かもしれません。さてみなさんの病棟は「実習指導,準備万端!!」でしょうか?