特集にあたって

編集部

 今月の特集では,看護師と患者さん・ご家族が出会う入院時の対応についてまとめました。最初の出会いの印象がその後の関係性を左右する,というのは多くの方にとって普段の生活を通じた実感だと思います。
 こと精神科病院という場においては,医療者が初期の対応によって患者さん・ご家族へ与える印象は,信頼関係という基盤を形成するうえで非常に重要であり,その後の患者さんの入院生活の質に大きな影響を及ぼすものと考えられます。これまでであれば,あるいは最初の対応が多少拙いものであっても,後々時間をかけ,ゆっくりと信頼関係を築いていくことが可能であったかもしれません。しかし入院期間の短縮が求められる昨今。ともすれば初期対応の拙さが尾を引き,信頼関係を築くとっかかりすらつかめぬまま,患者さん・ご家族との関係の糸が切れてしまうことにもなりかねません。本稿では,主に急性期における初期対応において看護師がもつべき基本態度について座談会やケースを通じて検討していきたいと思います。
 また初期対応においては,ご家族への配慮も欠かせません。さまざまなエピソードを経てようやく医療につながったことへの労りを基本としつつ,その後の生活を見すえ,疾患の知識,ご本人への接し方を学ぶ機会も早期に提供することも重要であることから,特集の座談会では家族教室・心理教育の実践についても紹介しています。