特集にあたって

編集部

 今回の特集では,生活習慣病(特に糖尿病)を合併した精神疾患をもつ人へのケアについて,主には多職種によるチームアプローチの取り組みについて紹介する。
 まずは生活習慣病の代表格である糖尿病について,薬物療法や治療テクノロジーの近年の発展と,バランスを欠いた食への欲求を「習慣」としてとらえ,「癖」であることに気づくためのアプローチとしてのマインドフルネスの可能性について整理していただいた。
 加えて,デイケアで行うSOLUTIONS for WELLNESS(患者さんのための健康生活-食事&運動ガイド)の試みでは,「グループ」としてメンバー同士がお互いに刺激しあうことに重きを置きながら,生活習慣への指導を行う取り組みが報告される。また浅井病院の生活習慣病予防チームの取り組みでは,精神疾患を合併した糖尿病患者さんに対して糖尿病療養指導士の資格をもつ多職種による介入の取り組み――その困難さと可能性ついて取り上げた。
 今回の特集記事でもたびたび述べられているように,生活習慣病はまさに「生活」のバランスの変調によって生じる病であるために,対象者はこれから続く長い人生をこの「やっかいなパートナー」とともに歩む必要がある。こうした視点から見ると,対象者の生活を(担当者は違えど)1年365日,切れ目なく見守る看護師が,生活習慣病の治療・予防の核となるだろうと思う。