特集にあたって

編集部

 普段の臨床では,精神医療に関する法を遵守して患者さんとのかかわりやその他の看護業務を行っていることと思います。ただ,少なくとも臨床の現場で喫緊の課題としてあがることのない法・制度の改革に対しては,なかなか意識する機会はないのではないでしょうか。
 しかし,定められたり,改正された関係法規であったり,現在検討が進められている精神保健医療福祉の制度の方向性を知ることは,1人の(精神科)看護師としての「立ち位置」あるいは「来し方行く末」を見定めるのに寄与するのではないか。そこで本特集を組みました。
 法・制度の改革とは,極限すれば,「社会」が精神医療や看護に向ける要請であり,期待であると思います。あるいはそれは「叱咤激励」でもあるのかもしれません。さらに極限していくと,精神科看護師であるところの「あなた」は,同時に,対社会的に「精神科看護師」という代表者であるということもできるのではないでしょうか。
 ただ,精神科看護を取り巻く法・制度は極めて多岐に渡り,これらの情報を網羅することは難しいものがあります。そこで今回は,近年の法;制度(改革)のなかで「これは」というものをピックアップしました。みなさんの実感・直感のとおり,精神科看護を取り巻く法・制度(環境といってもいいかもしれません)は変化しています。激動ともいえるこの変化の先に,みなさんはどのような看護師としての自分を描くでしょうか。