特集にあたって

編集部

 ミスケアというとみなさんはどのようなイメージをもたれるでしょうか。「ミス(miss)」とは「誤り」や「失敗」を意味する英単語です。小さなミスが大きな事故につながりかねない医療の現場において,ミスはあってはならないこととされています。
 しかしながら,どのような人でも失敗はつきものです。そのため,ミスケアを「あってはならない」といって終わらせてしまうだけでは不十分です。もちろん,ミスを犯さないために最大限注意を払う必要はあります。ただ,それ以上に大切なことは,それが「なぜ起こってしまうのか」,そして「起こった際にどのように対処すればよいのか」,さらに「ミスを犯さないために今後どのようにすればよいのか」ということをチームで共有して,各々が考え,協働していくことではないでしょうか。
 本特集では,それぞれの領域・病棟で起こりがちなミスケアについて見ていきます。自分自身の看護を振り返りながら読むと,より問題が明確に見えてくるでしょう。また,ほかの領域・病棟と比較することで,これまでなかった視点を得ることができるでしょう。
 ミスを「ミスという事実」で終わらせないためには,自分自身を振り返るだけではなく,他人の失敗から学ぶことも非常に大切です。失敗を活かすことで精神科看護師として成長し,看護の質を高めていけるのだと考えています。本特集がその一助になれば幸いです。