特集にあたって

編集部

 今回は,「精神疾患を抱える親をもつ子どもへのケア」について考えていきます。ともすれば,親の病の陰に隠れがちな子どもの体験。しかし,親が病によって受ける影響はさまざまです。家庭環境や境遇が異なるため,一口に論じることはできませんが,多くの場合,精神疾患の親と暮らす子どもは,その症状や対応に悩み,誰にも相談することができず,1人で抱え込んでしまう。また,親の病について「自分のせいなのではないか」と自責の念にかられてしまう子もいるといわれています。
 こうした子どもたちに出会う機会はそう多くはなく,また直接的な介入も難しいでしょう。特に,病棟勤務の看護師の場合,その機会はさらに少なくなると考えられます。だからこそ,接する際に「どのような配慮が必要なのか」は十分に検討されなければなりません。当然,年齢や環境に応じた支援が求められることはいうまでもありません。こうした支援は,何よりも対象となる患者への医療・看護展開に資することになります。
 冒頭の記事では,これまでの精神科医療における「病をもつ親の子どもへのケア」の位置づけを概観し,その具体的な方法を紹介していただきます。続く記事や座談会では,現場で活躍されている看護師の方々がどのように「子どもへのケア」に取り組んでいるのか,豊富な事例をもとに紹介していただきます。特集を通して読者のみなさんと一緒に考えることができれば幸いです。