特集にあたって

編集部

 看護記録とは「あらゆる場で看護実践を行うすべての看護職の看護実践の一連の過程を記録したもの」です。つまり患者に対して提供された看護ケアの証明です。同時に看護あるいは職種を超えたチームがシームレスにケアを提供するための,貴重な情報共有手段でもあります。ただ,流動する対象者の像を的確に記録に残すには押さえておくべきポイントがあります。そこで今回は,看護記録に苦手意識をもつスタッフや,将来看護記録の教育を任せられるかもしれない読者に向けて,看護記録の意義と,ケースを通した看護記録の書き方について実践的に紹介します。
 冒頭の座談会では,看護記録の重要性を確認したうえで,患者さんの姿が見える記録にするためのポイントや新人看護師への指導の仕方について語っていただきました。続いての記事では臨床にもとづいた架空の実例をあげていただき,多職種が活用しやすい看護記録を書くポイントについて解説していただきました。3本目の記事ではSOAPの書き方を教員と看護師の会話文で説明されており,添削の過程や学び方がわかりやすく伝わります。最後の記事では記録を書くのに大事な「観察」に留意したうえ,記入例と改善例をていねいに明示していただきました。本特集が看護記録を書くことが苦手な方にとって,自身の看護実践を効果的に伝えられるため,患者さんや家族に安心と信頼を与えられるための第一歩になれば幸いです。