特集にあたって

編集部

 看護師にとって患者さんの睡眠チェックは日常的な観察項目です。ただ,毎日行う観察ゆえルーティン化もしやすく,そのデータが意味するところを振り返る時間はあまりないと思われます。しかし,睡眠は人間の活動を大きく左右する欲求であり,心身や脳の働きを休めるセルフケアの主たるものです。その観察を注意深くすることは,患者さんの精神疾患の状態や今後の回復をはかる重要な指標になり得るのではないでしょうか。
そこで今回は,睡眠と病状との関連や睡眠薬以外の睡眠導入法などを知り,睡眠の重要性を再認識したうえ,日常的な睡眠のチェックとそのデータを看護に活かす方法を探りたいと思います。
 冒頭の記事では,各精神疾患が増悪するときと回復するときの睡眠パターンについてお話を伺いました。2本目の記事では,事例を通した消灯時間の見直しと睡眠のアセスメントの重要性について,3本目の記事では睡眠のアセスメント(特に睡眠の質の判断)について解説していただきました。4本目の記事では救命救急センターにおける睡眠と鎮静に関する薬物療法の取り組みが詳説されています。最後の記事では看護判断の「基準」について再考を促し,夜間に患者さんから頓服薬を希望された場面を通じて長期的な状況改善の展望について考察していただきました。
 睡眠に関する患者さんへの観察を深めれば,「眠れない」という訴えに薬以外でも向き合えると考えています。