特集にあたって

編集部

 【特集①】組織で働く以上,「異動」は避けられません。しかし,他科から精神科ほどの変化ではないものの,精神科病院内における「異動」も,スタッフにとっては,新しい病棟でのチームへの参加,病棟ルールの理解,これまでの病棟機能と異なる患者理解など,業務への適応には,人によってストレスとなり,離職へといたるような出来事となり得る。しかし「異動」はストレスフルなイベントであると同時に,看護師としての成長のチャンスともなり得るといえる。特集①では,こうした両面をもつ「異動」に焦点をあて,「異動」を経験した看護師,「異動」を決める管理側の体験を紹介する。
 【特集②】本特集は2018年12月に行われたトラウマ・インフォームドケア研究会「第2回 皆で考えるトラウマ・インフォームドケア」内の企画を再構成した内容です(紙面の都合上,1部企画のみを再構成しています)。冒頭は当研究会会長の川野氏よりトラウマを理解するための「3つのE」について紹介いただいている。そして組織的な導入と,大学院教育への活用,またトラウマ・インフォームドケア教育プログラムの研究の進展についてそれぞれ発表いただいた。最後に,討論会として臨床実践におけるトラウマ・インフォームドケアについて看護学生を含む6人の討論を再現した。今後,トラウマ・インフォームドケアが臨床に何をもたらすのか。目が離せない。