特集にあたって

編集部

 発達に課題を抱え,精神的に問題が生じる児童・思春期の子どもたちにとって,日常生活を支える保護者,病院で身近に接する看護師,日々多くの時間を過ごす学校と教師は,大切な役割を担う。医療現場と教育現場それぞれでは多職種の連携が進むが,両者の連携となると,簡単ではないようだ。
 医療に携わる医師,看護師。教育に携わる教師。共通する「師」が示すように,これらは資格による専門職である。そのため,たとえば病院,学校という場は,専門職集団が営む独自の文化が根づき,さまざまな情報が外部へ意識的に発信される現在でも,なお外側から詳細な空気感を知ることは難しい。だが,専門職だからこそ発揮できる力は相互に活用される必要がある。
 また,子どもたちのもっとも身近にいる保護者の価値観も多様化し,保護者自身が孤立し,子育てに悩むケースも多いことから,保護者ケアも重要な課題の1つだ。両機関は子どもたちの成長を支えるという共通の目的のため,その対応にも工夫を凝らしている。
 今回の特集では,おのおのの立場から連携についてのポイントやその可能性についてお考えをいただいた。座談会では,職種や立場により問題の本質をどう見るかといった観点が表れる。各記事でご紹介される実践からも子どもをとり巻く世界を俯瞰し,医療,教育,保護者という3者が協調する絵図を感じとっていただきたい。