特集にあたって

編集部

【特集1 医療の場におけるリカバリー―ピアサポーターという可能性】
 ピアサポート(peer support)のpeerとは「仲間」の意。同じような立場,同じような体験をした人が行う(相互的な)サポートが,ピアサポートです。精神保健福祉領域ではよく知られたAA(Alcoholics Anonymous)などは,ピアサポートのいち形式といえます。さて,近年における日本の精神保健福祉システムの「あり方」を定めた施策にたびたび登場しているピアサポートですが,実際に「協働」したことがある方はどの程度おられるでしょうか。そこで本特集1では,ピアサポート活動に取り組む当事者とそうした活動を地域移行支援に取り入れている病院より,その実際について紹介いただきます。
【特集2 リカバリーカレッジという新しい場所―「治療」から学びへ】
 リカバリーカレッジという言葉を聞いたことのある読者は,おそらくいまのところ,かなり少ないのではないでしょうか。カレッジというからには学校です。治療や支援の場ではありません。“学び”を通じてリカバリーの道筋をみずから発見していきます。リカバリーカレッジの軸となる理念は(いくつかありますが,とても大事な1つは)“共同創造”です。当事者・専門家・etc.,分け隔てなく,最初から一緒に“場”を作り,共有します。専門性を排除するということではありません。むしろ誰もがみずからの体験に関する専門家として集い学びあいます。「治療」から学びへ。まだまだ今日的には大胆な発想です。しかし十分可能な実践です。