特集にあたって

編集部

 特集記事としては,正直なところ,「カンフォータブル・ケア(以下,CC)を導入してみたらこんなに劇的に変わった!」というような話題を紹介したいのですが,それは現実,あり得ないと思うのです。CCは魔法ではない。根気よく,組織にCCをじわりじわりと浸透させていくことが何よりも大切。そして,CCを導入することでのちょっとした変化の発見が,CC継続(焦らない,折れない,諦めない)の鍵になるのではないかと考えます。
 つまり継続のためには(それがどんな小さなことでも)「(患者さん・職員の)変化」発見していく繊細さだと思います。それは継続のためのモチベーションにもつながるはず。そして,そうした意欲のあるスタッフの動きをフォローしてくれるような体制づくり――直接的にいってしまえば,病院運営の責任者による後押しが重要だと思います。
 また今回の特集では,隔離・身体的拘束とCCとの浅からぬ関係,直接的に表現すれば「CCの貫徹のためには同時に隔離・身体的拘束の最小化がめざされなければならない」という視点が共有されています。これは個別のケアを超えた,組織風土や病棟環境の課題にまでかかわる問題です。しかし,このことを反対に考えれば,CCの真摯な実践はケア環境をも変えていく可能性を秘めたものともいえます。各病棟でCCの挑戦を続ける各ケースをご覧ください。