特集にあたって

編集部

 長期入院にある患者の多くが,生活習慣病のリスク,特に高血圧,脂質異常,糖尿病を抱えている。促進要因として症状そのものによる活動低下(陰性症状),向精神薬の副作用としての肥満など,病棟生活の刺激や活動のそもそもの少なさ,などが考えられる。こうした状況を改善していくためには,動機づけという課題と実際に肥満解消のための活動の内容の精査という課題をクリアしていかねばならない。
 ただ,これらを看護部のみで完結することは難しい。そこで多職種が連携した生活習慣病を改善させるアプローチが必要となる。本特集では,病院生活,そして地域生活を見すえた生活習慣病改善のアプローチを紹介する。
 まず,生活習慣病を特に精神科病院で見ることの看護的課題を文献検討を通じて整理していただいた。また,管理栄養士による座談会では,その専門性を通じて精神科での生活習慣病の予防とケアのポイントと看護職への期待,また単科精神科病院での生活習慣病をめぐる多職種連携についての座談会では,入院患者の高齢化にともなうフレイル・サルコペニアという今日的な課題が検討された。そして最後に,地域(訪問看護)における生活習慣病への看護として,利用者の生活スタイルを尊重しながらも,相手のニーズが表出されたときに,いわば利用者さんがその人らしい生活を送っていくための「1つの引き出し」として接するという精神科看護師の態度が示されている。