特集にあたって

財団法人積善会曽我病院 渡辺勝次

 看護の仕事は疾病をもった患者という人間を対象に,チームを組み,24時間を交代で365日連続して行われるものである。私たち看護師の責務である「診療の補助と療養上の世話」を達成するためにはスタッフはどのような師長,主任を求めているのだろうか。
 スタッフからは「上司は自分のダメなところばかり指摘し,一向にほめてくれない。やる気が起きない」などの声も聞く。一方,管理者は「よかれと思って指摘しているのに,全然わかってもらえない」などの思いがある。
 臨床現場では管理者とスタッフ間のズレが見え隠れしている。スタッフはちょっとしたことでも,ほめてもらい,評価してほしいと願っているのである。そして管理者は「人を育てるとはどういうことか」ということを常に念頭に置いておく必要がある。それにはスタッフのやる気,モチベーションを下げない動機づけが欠かすことはできない。たとえば,人がいる場所で注意せず,ほめるときはスタッフの前でほめたり,「Yes,Yes,No,Yes(肯定的な評価を基本とすること)」の手法を駆使することも必要であろう。
 今回の特集では,「管理者とスタッフの思いのズレを考える」と題して,スタッフのモチベーションを保つため管理者のふるまい方,動機づけに関するスタッフの本音,それぞれの病院でのスタッフのサポート体制・実践などを紹介している。