2011年10月号の表紙

 土地は,その地に暮らす人々の人生やその営みを堆積した巨大なテキストでもある,と思います。今回の震災は人々の命を奪うとともに,土地の記憶そのものをも流してしまいました。いまなお,進行する福島第一原子力発電所の事故は,その周辺地域の記憶を3月11日以降,凍結させてしまっています。
  しかし,これまでに起こった数々の震災の後,そこに暮らしつづける人々は新たに物語を紡ぎ,やがてその地は着実に再生していきました。土地の記憶の裂傷,そして新たな物語の新生。今月号の表紙を眺めると,ふっとそんなことを考えさせられます。1日も早い被災した東北地方の再生・新生を願わずにはいられません。