特集にあたって

編集部

 昨今,多職種チーム医療の重要性は自明となっています。本誌でもこれまでさまざまな局面での多職種チームの協働について扱ってきました。それらを振り返ってみると,医師の不在が際立ちます。しかし医者との協働なくして,現実的な協働は図れないのではないでしょうか。そこで今月号では医師―看護師の協働にフォーカスしたいと思います。
 まずは冒頭記事では「医師が下す判断への看護からの情報の影響」という観点から,両者の協働のあり方について考察しています。両者の協働の考察は,図らずも医師のサイドからとらえた「精神科看護師の専門性とは何か」という問いへの示唆に富んだものとなっています。
 医師と看護師の(主に薬物療法に関する)具体的なやりとりを通じて「医師が下す判断への看護師の参画の一例」を紹介する記事や,臨床を悩ませる「せん妄のケア」を通じた医師や他職種の記事,医師との協働における基本的な看護力とその教育方法に関する記事が強調するように,医師との協働の前提として,看護師には一定の知識や技術が求められます。ただそれらは医師に「仕える」目的では決してなく,看護師自身の自立を助けるものであり,もって有効な多職種協働を達成させ,患者や家族に資するものであると考えられます。今回の特集が医師や他職種との協働に悩む看護師にとって一助となれば幸いです。