特集にあたって

編集部

 今回の特集のテーマは,病棟看護と訪問看護の“連帯”です。今回のタイトルで,あえて“連携”という言葉を使わず,“連帯”としたのは,患者・利用者をめぐる看護の提供は,病院と地域で分断されたものではなくて,「常にすでに地続き」のものなのだ,ということを強調したいがゆえです。病棟看護も訪問看護も同じ看護。両方が“連帯”し双方のフィールドがもつ強みを発揮することで,患者/利用者に提供できるケアの質は各段に向上するのではないでしょうか。
 病棟看護と訪問看護の“連帯”の実践を紹介いただくうえで,今回は,双方の協働により対象者へのケアの選択肢がこれほどまでに豊かになる,ケアにバリエーションが生まれる,という経験を各執筆者に紹介いただきました。病棟看護・訪問看護に従事する書き手によるすべての記事に共通しているのは,病棟看護と訪問看護では,対象者へのケア提供における基本的態度には,やはり違いがあるものの,その違いは決して,“連帯”を毀損するものではなく,ケアの質を上げる相乗効果をもたらすという認識です。
 病棟看護と訪問看護の“連帯”により,病棟・地域に限らず陥っているかもしれない,「ケアの方向性がわからなくなった」「行き詰まりを感じている」という臨床状況に,「手持ちのアプローチとは異なるほかの選択肢」の提供ができれば幸いです。