特集にあたって

編集部

 2020年という激動の1年が明けても,先行きはいまだ不透明で心配はつきません。そこで今号は,仕事におけるストレスとどのようにつきあっていくか,「看護者のマインド」に焦点をあてました。個人,組織,各側面からの対処について,コロナ禍における管理者としての役割,Wellness Recovery Action Plan(WRAP)を用いた自分自身への理解の方法などをご紹介しています。
 いずれも共通して重要となってくるのは,ストレスや緊張による感情を,ため込まずに表出していくこと。個人としては「どのように自分の感情に気づき,言語化するか」,組織としては「どのように表出を促すか」がポイントとなります。人との間に生まれる感情は,奇しくも人とのコミュニケーションで解消されるのです。
 巻頭の記事では,衛生製材の不足やスタッフの緊張・不安に対し前線で奮闘する精神科病院の管理者の姿を紹介します。また,今般の状況における私たちの感情体験を客観的にとらえる視座を解説しつつ,スタッフや管理者に対する,また組織全体でのこころのケアの方略については,リソースナースの取り組みが参考になります。さらに個々ができるメンタルヘルスのメンテナンスに関して,WRAP・行動療法・アンガーマネジメントなどの「私の方法」について紹介してもらいました。より多くの「道具」を用いながら,多くの仲間とともに手を携えて,この難局を乗り越えていきましょう。