特集にあたって

編集部

 「ヤングケアラー」という言葉をご存知でしょうか? 最近であればニュースなどで耳にする機会が多いかもしれません。「たしかにたいへんそうだし,支援は必要だと思うけど,自分にはあまり関係がないような」と思われる方も,あなたがかかわっている患者や利用者のそばにはヤングケアラーという存在が隠れている可能性があります。
本特集では,はじめにヤングケアラーについての基本的な情報と,なぜヤングケアラーへの支援が問題となっているのかを解説します。続いて精神的不調を抱える親をもつ方々にご自身の子ども時代を振り返ってどのような思いを抱き,何を求めていたかをうかがいました。また,看護の現場で出会ったヤングケアラーとのかかわり,行った支援の事例を紹介しています。
 ヤングケアラーと一口に述べても,おかれる状況やケアに対する思いは1人1人変わってきます。もちろんケアが負担となり,つらいと思っていることもあれば,むしろ自分が行っているケアに誇りをもっていることもあるでしょう。本特集を通じてわかったのは,まずは本人の思いに耳を傾けること,そして,その思いを受けとめる周囲の環境が大切であるということでした。間接的にヤングケアラーとかかわる可能性がある精神科看護師も何かできることがあるのではないか,考えるきっかけとしていただきたいです。