特集にあたって

編集部

 「特集1 あらためてWRAP®の可能性についてみてみよう」では,あらためてWRAPの現在地点について検討します。増川ねてるさんがコロナ禍のなかで再発見したWRAPへの新しい気づきについてまとめた特集1の冒頭記事では,前半は増川さんへのインタビューの聞き書き,後半はキーワードとしての「チョイス&オプションズ」について増川さんによる執筆という構成をとっています。「WRAP®×CVPPP」では,「CVPPPトレーナー養成研修」に参加した増川さんと,「精神科領域で当事者と共に安心の場を創る改良型包括的暴力防止プログラム」の作成に取り組む下里誠二さんの対話を紹介します。
 「特集2 精神科看護と回復に寄与する『言葉』」では,支援者が患者・家族,そして同僚に対して普段使っている言葉について取り上げました。特集2の冒頭記事では,患者さんの回復に寄与する言葉とはどのようなものかについて紹介しています。記事中に示されている「医療内での言葉のやりとりは特別なものではなく,平時からの生活や日常の積み重ねを土台にして,つくりあげられています」という指摘は,支援者が患者・家族・同僚に対して言葉を伝えるときに特に振り返っておきたいものです。すべて解決する魔法の言葉などはありません。しかし,言葉には力が宿ります。あらためて「言葉」について振り返りたいと思います。