特集にあたって

編集部

 特集1では「伴走型支援に向けて」と題し,精神科看護と地域の協働について検討を行った。伴走型支援とは今後の対人支援において求められるアプローチをさすが,これと対比されるのが「問題解決型アプローチ」である。看護師にとっては後者のほうになじみがあると思うが,これは「どちらが正しい」というものではない。両輪があって対人支援は前に進む。重要なのは座談会で述べられているとおり,「あなたはこれが問題だから,それを解決してあげる」といったパターナリズム的なアプローチを超えた,「ご本人が望む生活をみずからの力で切り拓いていこうとするチャレンジを(多職種の協働によって)支える」というスタンスなのだろう。
 特集2「精神に病をもつ人の看取り」では,第47回日本精神科看護学術集会でのワークショップを再構成して紹介する。精神科病院における看取りはその課題をあげていけばきりがない。しかしそこで思考をとめず,「本人がどういうふうに逝き/生きたいのか」を検討し続けることが重要だ。だからこそ,「患者さんの死」から目を逸らさず,真摯に話し合えるような環境づくりが求められる。またそのことを通じて,「患者さんから得られる精神科看護師としての最後の学び」が個々の看護師の血肉となるのだろう。本稿をきっかけにいま目の前にいる患者さんの「どういきたい」を見つめ直していただければ幸いである。