特集にあたって

編集部

 産前・産後にかけての周産期に,女性には心身ともにあらゆる変化が訪れる。それによる影響ははかりしれない。そのため,心身両面から母子のサポートを行うべきもので,実際に病院,地域で支援が行われている一方,精神科のなかではあまり多く語られていないのが実情ではないだろうか。
 本号特集では「周産期のメンタルヘルス」として,冒頭記事では「周産期」の定義から,歴史,周産期で生じ得る精神疾患などの知識,そして精神科看護師に期待することなど,基礎的な部分から紹介している。次に,「ペリネイタル・ロス」,つまり周産期で子どもを亡くす経験をした母親,家族へのグリーフケアの重要性と方法に関する記事が続く。また,CNSとして総合病院での妊産婦,助産師の支援,科を超えた連携を支える方から,実際の事例とともに支援の動きを教えていただいた。
 少子化の危機が叫ばれる昨今。2022(令和4)年12月時点で,すでに当年の日本における出生数は80万人を割るという見通しが伝えられている。子どもが少なくなると同時に,子育て世帯が孤立しやすい社会となりかねない。子どもが健やかに育つためには,親自身も健康で,楽しく子育てできる環境にあることが望ましいだろう。読者の方々にとって,本号特集をご覧になったことが「周産期のメンタルヘルス」について興味を抱くきっかけとなることを願う。