特集にあたって

編集部

  「特集① 認知症高齢者の終末期・看取り」では,終末期における患者の身体的・精神的な変化が克明に記載されている。こうしたさまざまな変化を理解することは,終末期―看取りにおける家族ケアにおいて重要だ。なぜなら,その情報提供が家族のその後の選択に大きな意味をもつからだ。また,本稿での重要な指摘の1つが看取りに入った段階こそ「新たなケアの始まり」であるというもの。看取りという状況に至って,外部刺激に対して患者からの反応は少ないからこそ,「あなたたちのケアはOKですよ」という静かなメッセージを丹念に探り,濃厚なケアを提供することが求められる。
 「特集② 中高年男性のメンタルヘルスを考える」という企画は,「現代は、中高年男性がいろいろと生きづらい世の中だよね」というところから端を発している。その根底にあるかもしれない,「育ってきた時代の価値観やマナーと現代との差異(特にジェンダー観)」「女性と比べた場合のコミュニケーション・感情表現の違い(からくる孤立)」「生理的変化(男性更年期障害)」など,“男らしさ”という足かせ。では,こうした状況にある中高年男性のメンタルヘルスの維持・増進のために,精神科看護師が行うべきこととは何か。中高年男性への有効な看護の可能性について考える。