特集にあたって

編集部

 ナイチンゲールが述べているように,看護においては「新鮮な空気,光,温度,清潔さ,静けさ,適切な食事」といった患者の周辺環境を整えることが重要な仕事です。それは精神科でも変わることはないはずです。
 それでは実際,入院生活で過ごすことになる精神科病棟内の環境を考えてみましょう。たとえば,不快なにおいがする,騒々しくて穏やかに過ごせない,落ちついて食事ができないとなると,精神症状への悪影響が考えられます。不快感を覚える空間は,患者,そして看護師も含めた人の心を苛立たせ,人と人とのかかわりも質の悪いものになることが想像できます。また,「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」に向けて「入院医療中心から地域生活中心」が大きな流れとなっている昨今,精神科訪問看護での環境整備についても考えなくてはなりません。しかし地域での暮らしの環境を整えるといっても,そこは利用者の自宅や自室であるため,病棟と同じように看護師が直接手を加えることはできない領域です。
 以上を踏まえ,本特集では病棟内の限られた状況のなかで,どのように環境整備をするか,看護師にできる工夫はあるか,さらに精神科訪問看護での環境整備とは何をさすのか検討しました。本特集から看護の基本となる環境整備をあらためて考えてみませんか?