特集にあたって

編集部

 精神障害を有する人への社会保障として,障害年金,精神障害者保健福祉手帳,生活保護など各種制度が用意されています。また,そのほかにも各自治体,地域で使えるサービスはさまざまあるでしょう。こうした制度やサービスは種類も多く,複雑で,すべてを覚えておくことはなかなか難しいものです。もちろん制度面での支援であれば,精神保健福祉士という専門職もいます。とはいえ,通常の看護業務での何気ない会話のなかで,患者さん,あるいは利用者さんから生活上のお金に関する困り事があると相談されたとき,すぐに答えられず戸惑ったという経験もあるのではないでしょうか? せっかく相手が困り事を表出してくれたタイミングは逃したくないところ。
 本特集では,まず精神科看護師が対象者の経済的な困り事を解決するためにどのようなことをしたのか,具体的な事例を紹介していきます。対象者の地域生活のためには,看護師自身が諦めないこと,対象者の希望に寄り添うことが大切です。続いて精神保健福祉士から,制度やサービスに関する“裏ワザ”や,看護師にこれだけは押さえておいてほしいポイントを教えていただきました。
 社会保障に関してすべてを完璧に覚える必要はないかもしれません。しかし,対象者の困り事,希望を聞き,ともに未来を考えることができれば,支援全体はよりスムーズに進むはずです。