「病棟に昔からあった“謎ルール”」と聞けば,きっと多くの病院,病棟のなかで思いあたるものがあるのではないでしょうか。たとえば「危険物(と判断されているもの)の管理」「嗜好品の禁止」など,妥当な理由があるようにも思われるし,でもなんとなく違和感を拭いきれない。そのようなルールを本特集では“謎文化”・“謎ルール”と呼び,それらの解決方法を探ります。
第三者からみれば不思議に思われるルールがなぜ存在するのか。それを読み解くためには「パターナリズム」の概念がポイントになると考えられます。精神科看護におけるパターナリズムがどのようなもので,人はなぜパターナリズムに陥ってしまうのか,そこから抜け出す方法はあるのか。冒頭の総論において,パターナリズムがよくも悪くもいかに日常へ潜んでいて,個人の価値観を反映しているか,看護師はそれに自覚的であることを促します。またパターナリズムから脱するヒントを,“リカバリー”や“トラウマインフォームドケア”という考え方から得た実践,「こういう“謎ルール”,あるある」という体験をお教えいただきました。
当初は疑問に思っていても,組織のなかにいるといつのまにか何も感じなくなってしまう,それ自体はよくあることです。しかし,そこで少し立ち止まってあらためて考えていくことが,「職業人」としてのステップアップにもなるでしょう。
