特集にあたって

編集部

 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下,医療観察法)」が2003(平成15)年に制定,2005(平成17)年に施行された。そして,本年2025(令和7)年で施行20年を迎えることになる。20年という時を経たとはいえ,病棟機能の特性上によるものか,医療従事者であってもその実情はあまり把握されていない様子だ。それを踏まえて,本特集においては医療観察法の現状と課題について取り上げた。
 冒頭の総論では,医療観察法にもとづく医療のなかで何が課題となっているのか,看護師に何が求められているのかをまとめ,今後の課題が述べられている。続く座談会①,②では,医療観察法病棟で働く看護師のみなさま,医療観察法対象者へ訪問看護を行っている訪問看護ステーションのみなさまから現場での実感や難しさをそれぞれお話しいただいた。また,本特集の関連記事として,触法行為を経験した対象者とのかかわりについて,その事例をご紹介いただいた。
 本特集を通じて医療観察法にかかわるなかで問題となるのは,対象行為に関する恐怖心,偏見などの陰性感情であることがみえてくる。それを解決するのは,知ること,支援者みんなで協力していくことであるとわかるだろう。