特集にあたって

編集部

 高齢者の生活の質(QOL)向上において,拘縮の予防と適切なケアは重要な課題です。拘縮は要介護状態の進行を加速させる要因の1つであり,患者の高齢化が進む一方の医療機関や介護現場ではその対策が求められています。そこで本特集では,拘縮の基本的な知識と精神科における拘縮ケアの特徴や課題について紹介しています。
 冒頭記事では理学療法士の立場から,拘縮の基本を押さえながら,拘縮に伴うリスク,痛みを訴える方への介入の方法,多職種での「拘縮」に対するアプローチについて紹介いただきました。続く記事では精神科における拘縮へのケアを考えるうえで大切なポイントを解説。抗精神病薬の運動機能への影響を軸に,生活支援者として精神科看護師ができる拘縮ケアを詳述しています。
 次に,別の角度から拘縮を考えるために「高齢者の拘縮予防に向けた睡眠時の看護ケア」と題し,睡眠と拘縮の関係についても解説いただきました。高齢者は睡眠の質が低下し,体動が減少して拘縮が進行しやすくなります。これを防ぐためには夜間の体位変換や姿勢管理,環境調整が重要で,特に関節の拘縮予防に対する細やかな観察とケアが求められます。最後の記事ではユニ・チャームメンリッケ株式会社TENA(テーナ)アドバイザーから,拘縮によってオムツの交換が難しくなってきている対象者への介入の工夫について紹介いただきました。