2024(令和6)年の小学生・中学生・高校生(以下,児童生徒)の自殺者数は527人で,統計を開始して以来,もっとも多い結果となっています。ますますSOSの出し方や受け止め方に関する教育の重要性が高まっています(SOSの出し方教育については2024年4月号もご参照ください)。
本特集では,山形県での先進的な取り組みを紹介しながら,子どもが安心して助けを求められる環境づくりについて考えます。冒頭記事では,小さなSOSを見逃さず,未然に深刻な危機を防ぐ視点が強調されます。また,メンタルヘルス・ファーストエイドにもとづいた具体的な対応方法や,子どもの自己開示を促すかかわり方,家庭や地域との連携の工夫を通じて,支える大人が「1人でがんばらない」仕組みの必要性を伝えます。社会とは「人間交際」であり,子どもも大人も支え合える関係を築くことが自殺予防の鍵となります。続く記事では,「どのようにして子どものSOSを受け止めるか」について,TALKの原則に依拠しつつ解説。また受け止め方だけではなく,「子どものSOSをつなぐ」その考え方・方法も紹介しています。最後の記事では,山形県の「SOSの出し方に関する教育」に実際に参加した執筆者によるレポート。児童生徒に援助を求める力を育む実践的な授業の様子,またそこで行われている講義と演習の内容,保護者や地域との連携や配慮の内容を紹介します。
