強度行動障害は特定の医学的診断名ではなく,自閉スペクトラム症などを背景に,強いストレスや見とおしの立たなさから生じる「状態」をさします。激しい自傷や他害などにより,ご本人も周囲も非常に困難な状況におかれますが,精神科はもちろん,誤飲や合併症により身体科の現場でも出会う機会は決して少なくありません。
近年,「精神科の入院対象から外れるのでは」という一部報道が,支援の行き場を失うご家族や現場に大きな不安を広げました。一方で,2024年度の診療報酬改定では「強度行動障害入院医療管理加算」が新設されるなど,専門的なケアを適切に評価し,医療を確保しようとする過渡期にもあります。ここで大切なのは,激しい行動を個人の「問題」とするのではなく,行動を引き起こす「環境や状況」に目を向ける視点です。
本特集では,これまで学ぶ機会の少なかった「強度行動障害」の基本的理解から,具体的な精神科看護のあり方までを深掘りしていきます。トップを飾る総論記事では,定義や動向,そして私たちがどう学んでいけばよいのかというヒントが温かな目線で語られています。またこのほか,強度行動障害の精神科での看護や治療,実践事例も紹介しています。苦手な分野への不安を和らげ,当事者とご家族へのよりよい支援,明日からのケアの糸口を見つけるために。本特集がその一歩となれば幸いです。
