特集にあたって

編集部

 本特集を貫くのは「連携しているか」ではなく,「連携の中身はどうか」という問い。看護教育の現場では,多職種協働を「知識」として教えることの限界が指摘されている。学生が連携を自分ごととして考えられるよう,「看護過程の思考テンプレート」を活用し,アセスメントのなかから自然に連携の必要性が生まれる構造をつくった実践は,「考え方として育てる」教育の可能性を示す。
 精神科単科病院における実践報告では,現場の1つの声が組織を動かし,入院早期からの多職種カンファレンス体制が生まれた経緯を描く。トップダウンではなく,対話の積み重ねによって協働が「育っていく」プロセスは,組織変革の本質を映し出す。
 退院前訪問を軸にした実践からは,患者を「入院患者」ではなく「地域に生きる生活者」としてとらえる視点の重要性が伝わってくる。現場に足を運び,生活の文脈のなかで患者を理解することが,多職種をつなぐ看護の役割を具体化する。そして訪問看護の現場からは,連携の本質は形式やツールの問題ではなく,支援者1人1人のあり方の問題である。当事者の希望を軸におき,「否定しない対話」を実践できるかどうか――それが多職種連携の質を根本から左右する。多職種協働においては制度や会議体を整えるだけでは不十分であり,支援者がみずからの思考を言語化し,他者と共有し,対話を重ねる文化こそが土台となる。