近年,社会の変容に伴い孤立や孤独の問題が深刻化するなか,精神医療・福祉の現場では「病院完結型」から「地域完結型」への大きな転換が進められています。精神科病院によるアウトリーチや多職種連携は,入院治療に頼るだけではなく,住み慣れた地域でその人らしく生きる基盤を構築するうえで極めて重要な役割を果たしています。
しかし,単に関係性を強制したり支援を押しつけることが,かえって当事者の苦痛を深めてしまうリスクにも留意しなければなりません。客観的な孤立の有無にかかわらず孤独感を抱える人は多く存在しており,「つながり」の無理な誘導は当事者の主体性を毀損しかねないからです。いま私たちに求められているのは,当事者の意思を尊重し,安心して孤立できる場や,必要なときに緩やかにつながれる環境を温かく見守る姿勢です。民間団体によるユニークな中間就労や伴走型支援の試みにも見られるように,当事者の生きづらさを強みへと転換し,支援者と当事者が対等な目線でかかわりあう支援観は,これからの地域包括ケアにおける大きなヒントを示してくれています。
特集記事では,医療機関による先駆的なアウトリーチの実践から,地域に根ざした当事者支援まで,多角的な視点で「つながり」のあり方を問い直します。本特集が,地域社会における孤立と共生の未来をみなさまとともに考えるきっかけとなれば幸いです。
