特集にあたって

編集部

特集1
 精神科看護において,患者・利用者が抱える服薬への不安や抵抗感にどう寄り添うかは,日々の現場における重要な課題です。服薬指導を単なる「管理」や「作業」として終わせるのではなく,患者や利用者の生活背景や感情を理解し,対話を深める「看護のプロセス」として捉え直すことが求められています。本特集では,臨床現場で試行錯誤を重ねながら取り組まれている具体的な関わりや工夫を集約しました。多様な事例を通して,患者や利用者との信頼関係を築き,主体的な治療参加を支えるアプローチを探ります。今回紹介する6名の経験者の体験と,18の実践から『服薬についての相談を看護の機会にする』ための方法を学んでいただければ幸いです。

特集2
 日々の精神科看護のなかで「あの対応でよかったのだろうか」とふと覚える小さな違和感。それは決して弱さではなく,対象者に誠実に向き合おうとするからこそ生じる専門職としての貴重な感受性です。しかし多忙な現場では,「仕方ない」と胸の奥にしまい込み,孤立や疲弊へとつながりかねません。
 特集2では,この違和感を起点に,モラルディストレスやアンコンシャス・バイアス,トラウマインフォームドケア,モラルレジリエンスといった視点から,違和感を言葉にしてチームで共有し,看護を深めるプロセスを考えます。今回紹介する実践や知見から『日常の違和感を看護を深める機会にする』ための方法を学んでいただければ幸いです。